伝統にたずさわるプロと陰暦
伝統芸能にたずさわるプロかたがたは、陰暦でものを考えることが普通
【八朔】HASSAKU (秋の季語)& とんぼ
① 陰暦八月朔日(ついたち)の称。2021年は9月7(火)
農家で,新穀の贈答や豊作祈願や前もって祝う予祝(よしゅく)など行事が行われました。のちに一般での贈答の慣習となったそうです。
② 江戸時代
徳川家康が1590年の陰暦8月1日=八朔に江戸入府した記念日らしく、諸大名・旗本らは白帷子(しろかたびら)を着て登城し,ズラリ並んで祝詞を述べた。
③ 江戸吉原では,紋日(もんび。イベントデーでノルマ日。客も揚げ代をはずむ日)とされ,遊女は揃って白小袖を着た。それは夏の雪、と言われたようです。
北斎(辰政時代)「東都勝景一覧 新吉原八朔」1800頃
大好きな蕪村さんも八朔を詠んでいます
八朔や さて今日よりは 二日月
八朔の4つ目の意味は台風。この頃に吹く強風のこと。たぶん台風ですね。
ここは下鴨さん
薄織の布が、9月の柔らかい風に揺れていました。
まだ8月中の夕方のお稽古帰り
とんぼくんたちがいっぱい飛んでました。
「もう秋が来るんやねー」「まだこんなに暑いのに わかるんですねー」
北斎『北斎花鳥画集 桔梗に蜻蛉』
桔梗は7~9月に咲く花。花言葉「変わらぬ愛・誠実」。
この花鳥シリーズで「北斎は 自然の風も表現しようと試みている」とされます。なるほど。
桔梗は秋風にたなびいてじっとしてくれませんが、蜻蛉は上手く止まろうとする。柔らかいニュアンスで動きの表現を選んだように思います。
蜻蛉の羽の白い部分は、空摺(からずり。版木に色を付けずに圧だけで,紙面に凹凸模様を作り出す技法。着物の文様などを無色の凹線で表すのに用いた)
背景は「潰し」単一色の背景。主役の花を引き立てる効果)
このような「潰し」をムラなく摺るには、熟練の技術が必要との事。
浮世絵の彫り師&刷り師
絵師の細か〜い筆のタッチを版木へ彫る彫り師の方が、
色を置いて刷る刷り師より難しそう・・・
と、思うでしょう? わたくしもそうでした。
けれど、浮世絵版画の世界では
「彫り5年・刷り10年」!
浮世絵の出来は刷り師の色の調合・版木への色の乗せ具合・刷り具合が肝心だそうです。見えるもの全ての責任をおってる立場ですね。
わたくしの刷り師の好きなトコ
刷り師が 見当(けんとう。ズレない為の紙の位置マーク)に確実に紙をセット出来るテクニックが好きです。躊躇なく一発で置く様が 潔くて好き。
そして、バレンで色を映した後に紙を剥がす「シュッ」という音!
あの音もカッコイイ〜! シビれます。
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