お月さん 月を愛でるのは日本人の感性です
実乃鈴 MINOSUZU クリエイティブ日本舞踊アーティスト
9月10月の観月のイベント出演を承っております
「夏は夜。月の頃はさらなり」平安の枕草子の清少納言も月を愛でました (夏の良さは夜!特に満月の頃は、さらにステキ) 日本人は 昔々から、月を愛でてきました 肉体労働をしない貴族らはノンキでしたので【月に明かす】(朝まで月見パーティー)しておりました
江戸時代には、庶民もお月見を楽しみました
満月だけでなく、月待ちと言う月の出を待つパーティー
仲間で集まり,お供をそなえて、月を拝む行事がありました
特に、7月の26日の夜に月待ちをする、高輪・品川の二十六夜待ちは、その大盛況ぶりが浮世絵に描かれています
夜明け近くになる月の出の「光の中に三尊が浮かび上がる」のを見たい!・・・が、そもそも・・・でしたが、ご覧のように、屋台がズラリ!腹ペコな男たちのニーズにバッチリ応えてますね リッチな旦那衆は 船までチャーター(贔屓の芸者連れでしょう) 待ち時間が長ーいので、余興グループも呼ばれますし、仮設で見番(芸者の手配をするところ)までこさえてますねー 最初こそ、殊勝な信心の気持ちだったのでしょうが、なぜか、イベント化して大流行りとなってしまい・・・「三尊を光の中に拝む」はただの口実になったらしいです(江戸っ子の騒ぎたいパワーは笑えますね)
中秋の満月は「名月」 陰暦の8月15日です(2022は9月10土曜、19時)
その夜は、月見団子や、収穫したての里芋などを ススキと共に月へお供します
食への感謝を表して、おうちの庭などから 仲良くお月見
月は アーティストたちをインスパイアする
短歌(和歌)、絵、俳句、音楽、歌詞、川柳・・・
月にまつわる作品が、日本には とーっても多いの
月への感性は、外国にはないみたい
満月=オオカミ男だとか・・・(信じてるの??)
月に【風情】【風流】を見るのが日本人
ハデではないけれど、味わいは深い それが日本の感性です
日本舞踊は、元々の日本の感性のカタマリ 今、暮らしが西洋化したせいで、便利すぎるせいで、あなたの感性が薄ーくなってませんか?
日本舞踊は(伝統音楽同様に)元々のわたくしたちが持っている五感を思い出させてくれる芸能です
例え、カタチを真似しても、その型や動きから景色(風情)が見えないならば、味わいはありません
当時の鑑賞眼は、日本人同士だから厳しかったでしょうね
月を味わう俳句
四、五人に 月落ちかかる をどりかな 与謝蕪村
「秋祭りの夜も更けて、月はずいぶん傾いているのに、まだ踊っている人たちがいることよ」
年に1度のお祭りを朝まで楽しみたい人たちを微笑ましく見る蕪村さんの、優しい眼差しですね
待宵や 女主に女客 蕪村
もし15日が曇ったら、お月見ができないかも?!
そこで、前夜にするお月見が「まつよい」
近所の家に、女性ばかりキャッキャと集まってくる
楽しそうなようすに、やっぱり微笑む蕪村さん
萩に遊ぶ人 誰そ彼て 秋の月 蕪村
はぎ 秋の七草の1つ。昔の人たちは季節の草花を見にお出かけしました
萩を見に出かけ、ゆっくりしてたら、もう日暮れ
黄昏(たそがれ)と言う元は「誰そ彼 (たそかれ)」なの
昔は電気は無い
日暮れると誰だかわからなくなります
「あなたは誰?」それが、たそ、かれ? → たそがれ
名月や 池を巡りて 夜もすがら 芭蕉
全国を旅した芭蕉さん
行き先は全国に居たお弟子さんたちでした
俳諧は、身分に関わらない教養文化ですが、暮らしに余裕のあるお寺や、商家や、武家は、遠方から師匠を招いたのです
この時は、大きな庭に池もある家で、月見をご馳走になったのかしら? 皆で 句を詠み、食べて、呑み、笑い、呑み、また句を詠みあう・・・「楽しくて止まらないパーティーの間に、月が池をぐるっと回ったね」・・・平和で豊かな時間ですね
満月以外にも名句 あり
初月や 弓に弦なし 雁の声 言水
陰暦8月はじめの月です
月は、全く見えない新月から→糸月→三日月・・・毎日ちょっとづつ膨らんで行きます
三日月くらいが 弓みたいに見えますね
弦は張ってない月へ向かって、ガンの群れが飛んでいく・・・どの大きさの月でも、雁とは、絵になる秋の風情です
初雁や 月のほとりより現るる 樗良(ちょら) 月と雁の取り合わせその2です まるで、雁たちが月から現れたようも見えたちょらさんです 現代俳句の月 夏の月の句
鈴付きの鍵が垣根に 夏の月 (知恩院さんの会報誌で見つけてゾッコン) 皆さんも覚えがあるでしょう? 道のどこかで、誰かの落とし物を、見つけた誰かが、落とし主が見つけやすい場所へ置いてるのを
作者は、きっと、一人で夜の帰途・・・どんな1日だったのでしょう ふと顔を上げたら「あー、綺麗な月・・・」 その月影(影は光のこと)に照らされて、垣根にキラリと光るものが・・・寄ってみたらカギ(わたくしは自転車のと想像) 拾った誰かの、キレイでシンプルな魂の優しさからの思いやりの心が、月の光に反射したようで・・・作者は気持ちが深く、あったかくなったでしょう・・・ 私見ですが、善なる人の崇高さを味わえる素晴らしい句、でしょう? 崇高って、大仰なことだけを言いません 人への思いやりの行動は全て崇高やと思います 居待月 恋渡り居て 君と我 実乃鈴 居待月は陰暦8月18日の月 恋渡る=長い間、恋し続けること 一緒に月を見上げてて・・・「長いこと一緒におるねぇ、けど、恋心は、お互いに、よぉ続いてるねぇ」 愛ももちろん、けど、恋って感じは変わらんねぇ 笑いながら、ありがたくなって・・・「確かに一緒に居るんやね」
改めて実感・・・嬉しゅうなって・・・胸 いっぱい
月の出は、満月から毎日 遅くなる(女の子たち、気づいてる?)
陰暦で
15日 満月
16日 十六夜(いざよい ちょっとためらうような月の出なので)
17日 立ち待ち月(庭に立って待っている間に月が出る)
18日 居待月(座敷で座って待つ)
19日 寝待ちの月(月の出が遅くなり、寝てまつ時間になる)
こんなに感性豊かな呼び方があるんよー!覚えといてね!
昔の人は(都会であっても)自然と共に暮らし、季節の変化を味わう人生だったのですね・・・
日本舞踊は、そういう1つ1つの味わいを、現代人でも分かる機会、知って、覚えていく芸能です
実乃鈴のお稽古メソッドは、ただカタチを真似させる一般的なのではありません
日本舞踊も、他の伝統も(演奏者の楽器ごとの音や衣装の意味や小道具のことも)理解して、味わえる人になって欲しいを目標として、ご指導する工夫をしてます
知り得ることに勝る喜びなし! 知ることが多いのは、自信になるのよ
実乃鈴の日本舞踊を、ぜひ1度体験してみて!
あなたの感性が増えますよ!
内からジーンと感じる楽しさを感じてもらいたいな♪
おまけ1
陰暦 いんれき・・・中高生の女の子たち、わかる?
今は太陽暦のカレンダーです
明治から太陽暦に変わりましたが、それまでは陰暦(太陰暦とも)でした
新月が1日(朔、さく)で、15日頃に満月(望、ぼう)がめぐってきて、次の新月の前日が晦日(みそか) 年末は大ラスなので大晦日 月の1年は354日しかなく、ズレが出てしまうので、太陽暦の方が宇宙ルーティンには近いのね でも、太陽暦でもズレますので、4年に1度の閏年がありまーす ちなみに・・・ 陰暦では19年に7回、8年に3回等【うるう月】を設定してたそう(1年が13ヶ月になった年があったってこと) 伝統行事は陰暦で行なわれてたでしょう?
今も陰暦で行う方が、そもそもの意味がよりわかるのでは??と思う 今日この頃のわたくしです おまけ2 庶民が待ったのは月だけじゃなかったー 日待ち 前夜から潔斎して、翌朝の日の出を拝みました 特に,正月・5月・9月の吉日を選んで行われた行事 夜明けを待つ間は、ちと退屈ですし、眠くならないように、皆で集まって飲んで食べて,歌舞音曲(踊りや演奏うあ歌)を楽しみながら日の出を待った(二十六夜まちと同じく、最初の目的はどこへやら、次第に遊興化したそうです)
・・・やれやれ〜 笑
writer
実乃鈴 クリエイティブ日本舞踊アーティスト 振付師 出演・振付・指導
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