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「柳樽」江戸時代の川柳の宝庫

川柳集の「柳樽」

クスッと笑い、なるほどー、時に 大笑い!

江戸庶民がイキイキと暮らしていたのが見えるよう、それが川柳集「柳樽」

「短歌は 時代が昔すぎて言葉がむつかしい」そんな向きにも、

川柳なら、気軽に江戸期の文化に触れられまーす

柳多留名句選 上下 (岩波文庫)でも読めるようです

わたくしは、古語辞典から探し当てたいくつかをご紹介します

桜煮は 蛸も本意な 送り号

桜煎りとは、薄く小口切りした蛸を、たれみそか醤油で煮たものらしいです

送り号・・・(戒名のことです) これを読んだある男性は「悪いやっちゃなー」


花曇り 嫁 清正を供に連れ

Q 清正とは?

① 下男の名前

② 手土産に喜ばれる清正屋の餅菓子

③ 蛇の目傘


こたえ ③ 蛇の目傘  加藤清正の家紋が蛇の目だから。にゃるほど!(^-^)

浮世絵の左の女性が蛇目をさしていますね


判じてるうちに 柄樽の主がくる

柄樽は角樽のこと。樽に柄 (持ち手)が付いてる小さめの樽です。
「これはどなたからの??」「さぁ?」「さぁじゃないでしょー」
 皆で、誰かを言い当ててる最中に、送り主がやって来た


柳樽 小さい恋は けちらかし

かなりモテた人の祝言が決まったのね
角樽で朱塗りのものが柳樽(角樽は朱塗りだけかと思ってました)
白木のが角樽か柄樽で、お祝い用の朱塗りが柳樽なのですね〜
 柳樽を持って歩くのが夢 皆で河原ピクニックに行くの!


江戸時代は 祝宴などご馳走でもてなされる時に、欠席した人へも一人前のお料理が膳ごと届けられたそうです。それが送り膳

待ちかねて 子は寝てしまう 送り膳

大人の祝宴は、つい夜遅くなりますものね、必死で起きてたのかな、ちびちゃん可愛いですね


『あいたい』と 徳平さんを 下女は待ち

徳平とは 手指のヒビあかぎれの薬売りの総称。

会いたいでなく、「あ、痛い」

ヒビあかぎれはパクっと開きとても痛いものです。

給湯なんかなかった時代の家事は、どんなに辛かったでしょう。


髪がもつれてるとき、櫛はなかなか通りませんよね。引っかかって・・・

もつれた髪を櫛でグイと引っ張ることを抜き櫛といったそう。

抜き櫛に 引っ立てられる 病み上がり

『アンタ!もう熱下がったんやから、髪 ボサボサあかんよ!』
妻の容赦ない髪のとき方 (^^;
イテテテテ!!!髪をグイグイ引っ張られて布団から立ち上がる病み上がりの夫。
引っ立てるって・・・ほんま、笑いました (^_^;))


お金持ちほど シワイ(ケチ)と言われますよねぇ

代脈が 来たで 今坂ひっこませ

往診が(いつものドクターでなく)代理ドクター(研修医?)と分かるや、用意してた今坂餅を引っ込ませて、お茶だけだした・・・
(^_^;) シワイわぁ〜
作者はそのセコさを嘲笑してやれ!ってなものでしょう
今坂餅とは、江戸で七五三の祝いに食べられた長方形の餅菓子白餡と赤餡があったそう 今でも江戸にはあるようです




エエカッコしいの男のカッコ悪さも川柳で暴露

素見(そけん)とは 神ならぬ身の 囲ひ駕籠

わたくしも(読んで)ビックリ
囲い駕籠とは上等の駕籠です(当時、吉原へは徒歩かカジュアルな駕籠、時代劇でよく見るシンプルなアレでした)
リッチな囲い駕籠で乗り付けたら目立つ目立つ!さ〜ぞ豪勢に遊ぶ御大尽!「どんなヤツだか見てやろう」吉原で 冷やかししかできない男たちが注目しておりますと・・・「え゛〜〜〜!!」まさかの冷やかし!?? (゜∀゜;ノ)ノ
そりゃ、神さんでも分からんやろー(笑)・・シワイんか、勇気がなかったか・・・

吉原は官許の遊郭 ルールに厳しく、客は様々な手順をふむ必要がありました。
吉原にはランク別にカジュアルな店もあったそうですが、
格が高い店の太夫ならカンタンに会えませんでした

時代劇でご存知の高級太夫(花魁とも言う)に会うには、
確かな紹介者自身が連れてきた ②身元が確かで ③ 高額な支払いがきちんと出来る男 ④ 3回続けて会いに来れる男だけでした
紀伊国屋文左衛門などの桁違いの大富裕層は、高級太夫の店で豪遊し、一晩でン百両(ン千億円?!)も使ったそーです
ですから、囲い駕籠で乗り付けた男もソッチ系か と誰でも思ったのに・・・どーこへも上がらず(入店せず)帰っていく・・・
「なんだありゃ!?冴えねぇ庶民の男と同じ素見(ス見物、そけんとも言う)じゃねぇか!」



柳樽は 庶民暮らしを笑いにした川柳の宝庫
固有名詞から、わたくしたちは当時の物事を知ることができます

留め桶を 使ひ長屋で 憎まれる

長屋のみんなは銭湯で小桶を使うもの。なのに、オーバル型で取っ手付きの桶なんて上物を使ってしまったから『へー、えらくリッチじゃねぇか。なんで長屋に住んでるんだ』と・・・反感を買われた人がいたようです


宮芝居 百石ほどの 工藤が出

江戸時代の庶民の文化レベルの高さがわかります。
工藤とは工藤祐経(すけつね)曽我兄弟の仇役で暗殺された同族 河津祐泰の遺子
鎌倉初期の武将で、富士野の巻狩りの際,曽我兄弟に討たれた
役柄はスッとした男か中肉中背、なのに、宮芝居では、どえらくデッカイ男が工藤役?! 江戸ッ子はヤジを飛ばしでしょうね(^_^;) 1石は10斗。約180リットル。
【宮地芝居】
江戸時代,劇場としての公許を得ず寺社奉行の管轄下で,社寺の境内で興行した小芝居。屋根や櫓(やぐら)がなく,幕は緞帳(どんちよう)を用いた
引き幕は官許芝居のみ

ラストは爽やかに・・・


青柳の 緑の糸を 繰り返し

新芽がキレイな風になびき揺れる柳の細枝…繰り返すように、確かに見えますね!
みなさんも季節の命、お見逃しなく

身近な花鳥風月は 命の宝庫ですね❤️




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