「長唄 岸の柳」解説&鑑賞のポイント と 表現を豊かにする考え方のヒント
動画のページでご覧になれる『岸の柳』・・・
『もっと理解して 鑑賞したい』
嬉しいお声を頂きました!
つきましては、
『鑑賞のツボ』をご紹介します!
日本舞踊は
オキ(序曲)・出(主人公の登場)で始まります。
途中、
女舞はクドキ(しっとりパート)があり、恋心や心の内を舞で表現します。
その後、踊り地 (テンポアップパート)からチラシで〆る、がスタンダードな流れ。
『長唄 岸の柳』では
イントロで出。
『すだれゆかしき かほ鳥を』しっとり クドキの見せ場。
(大学生の女の子の感想)
『すだれを巻き上げるのが分かりました!』
『女性ってこんなに優雅に動けるのですね』『優美ってこういう事なんですね』
『踊りの流れがしっとりしているのに、色っぽいからドキドキしました(*^^*)』
『寄せては返す波の鼓』から 上がって(ノリが出る) いきます。
青海波は大海の波。(着物や風呂敷にも青海波模様があります)勢い良く おめでたいシンボルの一つ。
『げにふたつなき一つ目の』から〆にむかいます。
”常に賑わう両国界隈さえも
長唄という歌の道が
長く続けと祝しています”
唄本を開いて見せる所作で〆ます。
* 舞扇の表現
MAI-OOGUI EXPRESSONS *
その多彩さには 日本人も驚く程!
『風とか川まで扇で表現するんですね! 扇すごい!』高校生の感想
『筑波根に 姿涼しき夏衣 』舞扇(お扇子)が一瞬 袖の模様になります。
扇の表現はドンドン変化します . . .
『みどりの髪に』では長い髪に例え、
『柳の眉の』では扇面を鏡に見立て、
『その浅妻を』は船の揺れや棹さす様を。
『三味線』『棹』は その通り。
『屋根舟の』で屋形舟の軒をくぐり舟の揺れを。
『青海波』は大波を
『青山』は遠い山を、
『天女の光』では琵琶を抱く。
『行き来絶えせぬ賑わいの』格子越しに外をうかがう
このように、舞扇の表現は
どんどん変化していきます。
* * *
* 実乃鈴のお気に入りポイント&フレーズ *
『岸の想いも ようようと 届いた棹に 屋根船の』
(オトナの皆様には ご説明は . . . 不要ですね!)
江戸で大人気の屋形舟
浮世絵には、庶民が繰り出す様子が多く描かれました
夕涼み、桜や紅葉、雪見舟。三味線やお酒にお料理。
皆でワイワイ楽しそう!
屋形舟は デートにも使われました。
” 両思いになりますように " 毎日のように願掛けて . . .
『岸の思いも ようようと 届いた棹に . . . 屋根船の . . .』
想いは叶いました
そして、
恋人の待つ屋形舟の中へ . . .
この、風情 (⌒-⌒*)
少し照れますね
* * *
[ 歌詞の謎解き オトナヴァージョン ]
「逢う身」:「近江」似た音をかけてます。
「浅妻」: 琵琶湖東岸の「朝妻」にかけてます。滋賀県米原に新湊ができるまでは賑わっていた『朝妻みなと』→『浅妻』
浅妻 あさづま→ 浅妻
中院通勝・後水尾院が 遊女との後朝(きぬぎぬ)の分かれを和歌に詠みました。
浅い契りの一夜。浅い妻(遊女たち)が居た地が朝妻湊だったそうです。
その後から、日本画や歌舞伎の題にもなり、
遠い地、江戸からすれば、
『儚さゆえに惹かれる』あこがれめいた魅力があったのでは、と思われます。
わたくしが この演目を舞う時の解釈は:
『主人公は遊女ではなく、芸で売る芸者。
浅妻の艶っぽい響きと、古から噂に聞く遠方に ちょっと憧れて、
イイ人を想いながら、その気分になってる 可愛げのあるイイ女』 として、主人公を演じてます。(鏑木清方「朝妻舟」S18頃)
* * *
いかがでしょう?
日本舞踊を、少し身近に 感じてもらえたら
嬉しい (⌒-⌒ )
日本舞踊は『演じ手』であらねばなりません。
それも 踊り手にとって
難しい部分の一つ。
(長年かかって各自が得る授かりものです)
* 豊かな表現力の為に *
時代の勉強・立場をおもんばかる理解度・当時の風情 . . .
現代とは違う時代のこと。勉強ばかりです。
古典舞踊を表現できるまでには、長い年月がかかるのは当然です。
でも、ただ長くやれば良くなるわけでは 決してございません。
取り組み方次第ですね。センスを磨く努力ですね。
慢心しないようにと 自分を思う事も重要です。
人間ですものね。完璧な人なんておりません。
勉強するぞ!の心意気も大切。
しかし、自他への指導の経験値から言えますことは、
『日常が大切!』
日常こそがその人を作ります。
衣食住を「どうとらえてますか?」
最近、一般参加の座禅や精進料理に生き方の指南を求める人が多くなってると聞きます。
当たり前と思いがちな衣食住への考え方を学ぶチャンスです!季節を感じ取る五感、人の想いに気付く五感を。
単なる流行りでなく、実践される方には、得るものがありましょう。
*母は絶妙な言い方でそれを言いました*
* 母からの素晴らしい言葉 *
『プロの服(衣装や着物)を着て安心しなさんな。
たとえ裸でもプロと知れるのが、
誠のプロフェッショナルですよ』
例えば・・・
日常 姿勢が悪ければ、着物姿も良くは映りません。
日頃のお行儀が悪ければ、お嬢さんや姫の役は似合わない。
平気で意地悪するのに、優しいぶっても違和感は表れる。
不義理が平気な人へ
芸の神さまは豊かな表現力を授けてはくれない。
小さな感謝のない人は、大きな感謝も無い . . . 等々。
つまり、
「見た目(衣装)だけを ごまかしてもバレます
(そんな考えでは プロと言えませんよ」の意。
有難い教えをもらった私は徳を授かっております)
でも、実際は、
衣装や着物でもごまかせません。
姿からは全てがバレます。怖いです。
わたくしも まだまだ向上したい。
毎日を大切にしよう、
感謝が出来て
感動が出来る自分で
ありたいです。
『芸は一生』ですものね!
いつか
LIVEでご覧くださいませ。
味わい深い
伝統の美意識を
ご一緒しましょう!
writer
日本舞踊ARTIST 実乃鈴
MI-NO-SUZU
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